シーバスを始めようとダイワのカタログを開くと、まず数の多さで手が止まります。1万円台のシーバスフラットXから9万円台のモアザン ブランジーノ EX AGSまで、価格差はおよそ7倍。しかも1シリーズの中に20機種近くあるので、「86ML」「96ML/M」「110MH-4」といった記号の羅列を前に、どれが自分向けなのか判断できなくなるのが普通です。
結論から言うと、ダイワのシーバスロッドは「予算帯でシリーズを決める → 長さとパワーで機種を決める」の2段階で選べば迷いません。シリーズは価格順に並べればきれいに5段階に分かれていて、上位に行くほど「軽さ」と「番手の細かさ」にお金を払う構造になっています。逆に言えば、魚を釣る性能そのものは1万円台でも十分に確保されています。
この記事では、ダイワ公式サイトに掲載されている現行シーバスロッドのスペックと希望本体価格をそのまま並べ、価格帯ごとに何が変わるのかを整理します。そのうえで、最初の1本の選び方、電車釣行や船釣りで変わる基準、買ってから後悔しやすい落とし穴まで、釣具店で店員さんに聞く前に知っておきたいことを一通りまとめました。
・ダイワの現行シーバスロッド6シリーズの価格と実力の違い
・最初の1本を「長さ・パワー・継数」で決める具体的な手順
・1万円台・3万円台・5万円台で何が変わるのかの中身
・陸っぱりと船で選び方がどう変わるか
ダイワシーバスロッドは全6シリーズ|1万円台から9万円台までの全体像

価格順に並べると、迷いどころは2か所しかない
ダイワ公式サイトの「ロッド>シーバス」カテゴリに並んでいるのは、シーバスフラットX、ラテオ(およびラテオ BS)、ラブラックス AGS(およびラブラックス AGS BS)、モアザン、モアザン ブランジーノ EX AGS、モアザン ブランジーノ CGS、モアザン ワイズメン、スカイハイ ボートゲームです。このうち陸っぱりでシーバスを狙う人が現実的に候補にするのは、価格順にシーバスフラットX(希望本体価格13,800〜16,300円)、ラテオ(31,000〜42,500円)、ラブラックス AGS(51,400〜56,000円)、モアザン(67,000〜84,000円)、モアザン ブランジーノ EX AGS(85,000〜98,500円)の5系統です。
こうして並べると、多くの人が悩むのは「フラットXかラテオか」と「ラテオかラブラックスAGSか」の2か所に集約されます。3万円台と5万円台の差、5万円台と7万円台の差は、釣果よりも1日振り続けたときの疲れや、手元に伝わる情報量の差として現れる部分が大きいためです。年に数回の釣行なら下の2つ、週末ごとに通うなら上のグレードを検討する、という線引きが現実的です。
注意点として、希望本体価格はあくまでメーカーが設定した本体価格であり、税込の実売価格とは別物です。たとえばシーバスフラットX 96MLは希望本体価格14,800円ですが、価格.comやAmazonでは10,700〜10,780円程度で流通しています(2026年4月時点)。カタログの数字だけで「高い」と判断すると、選択肢を自分から狭めてしまいます。
| シリーズ | 希望本体価格 | 代表機種の自重 | 主な搭載技術 |
|---|---|---|---|
| シーバスフラットX | 13,800〜16,300円 | 96ML=145g | ブレーディングX |
| ラテオ | 31,000〜42,500円 | 96ML=135g | X45/V-JOINT/HVF NANOPLUS |
| ラブラックス AGS | 51,400〜56,000円 | 96ML=130g | AGS(エアガイドシステム) |
| モアザン | 67,000〜84,000円 | 96ML/M=133g | 15機種の細分化ラインナップ |
| ブランジーノ EX AGS | 85,000〜98,500円 | 87LML=97g | AGS/V-JOINTα/SVFナノプラス |
| ラテオ BS(船) | 30,000〜35,000円 | 69MS・W=98g | 1.93〜2.26mの船用短竿 |
(釣りはじめナビ調べ/出典:DAIWA公式 ロッド・シーバス製品一覧。価格はすべて希望本体価格)
1万円台と3万円台の間にある「カーボン素材の壁」
シーバスフラットXとラテオの価格差は約2倍ありますが、その中身を分解すると素材とジョイント構造に行き着きます。シーバスフラットXが搭載しているのはネジレを抑えるブレーディングX。対してラテオは、高密度カーボンのHVF NANOPLUSに加えて、45度のバイアスクロスでブランクを締め上げるX45、そして継ぎ目の違和感を減らすV-JOINTを搭載しています。
これが実釣で効くのは、風のある日と重いルアーを投げるときです。ブランクがねじれると、キャスト時にロッドの復元力がまっすぐ前に向かわず、飛距離と方向がばらつきます。1日100投を超えるシーバスゲームでは、この差が「同じ場所に入れ続けられるか」という精度の話になってきます。
自重にも表れていて、9.6ftのML同士で比べるとシーバスフラットX 96MLが145g、ラテオ 96MLが135g。数字の上では10gですが、ロッドは手元を支点にした「てこ」なので、先端側の重さは体感で数倍に増幅されます。とはいえ、月1回の釣行で3時間ほど振る使い方なら、この差が決定打になることはほとんどありません。予算が限られているなら、竿を1グレード落としてリールとラインに回したほうが釣果は安定します。
5万円台から搭載されるAGSガイドは何が違うのか
ラブラックス AGSとブランジーノ EX AGSのシリーズ名についている「AGS」は、エアガイドシステムの略で、ガイドのフレーム素材にカーボンを使った機構です。金属フレームより軽く、振動を減衰させにくいという性質があり、結果としてロッド全体の自重が下がり、手元に返る情報量が増えます。
数字で見ると分かりやすく、ラブラックス AGSの86MLは全長2.59mで自重112g。同じ長さのラテオ 86MLは120gなので、8g軽い計算です。ブランジーノ EX AGSに至っては、87LML(2.62m)で97gと、100gを切ってきます。100gを切る2.6mクラスのロッドは、持ち重り感がほとんどなく、小さなルアーを操作する釣りで疲れ方が変わります。
ただしAGSガイドには弱点もあります。カーボンフレームは金属より硬い一方で、点で強い衝撃を受けたときの耐性は高くありません。テトラや堤防の角にロッドを立てかける、車のドアに挟むといった扱いは、金属ガイド以上に避ける必要があります。ラフに扱う釣り場が中心なら、あえてラテオのような金属ガイドモデルを選ぶ判断も合理的です。
シーバスハンターXが見当たらないのはなぜ?
ネットで「ダイワ シーバスロッド 入門」と検索すると、今でもシーバスハンターXを推す記事が多く出てきます。ところが2026年8月現在、ダイワ公式サイトのロッド>シーバス製品一覧にシーバスハンターXの掲載はありません。同カテゴリに並ぶエントリーモデルはシーバスフラットXのみです。
ロッドは数年ごとにモデルチェンジと整理が行われるカテゴリで、公式一覧から外れたモデルは在庫限りの流通になることが一般的です。中古市場や実店舗の在庫で見かけたときは、価格が魅力的でも「パーツ供給がいつまで続くか」を店員さんに確認してから決めたほうが安全です。ガイドを1つ壊しただけで修理不能になると、結果的に割高な買い物になります。
逆に言えば、今から新品で買うなら選択肢はシンプルです。1万円台の入門枠はシーバスフラットXの5機種、3万円台はラテオの20機種超、という整理で問題ありません。古い記事の情報をそのまま信じて店頭で探し回るより、現行ラインナップから選ぶほうが早く釣りを始められます。
最初の1本は「長さ・パワー・継数」の3つで決まる
長さは9.6フィート(2.90m)を基準に前後させる
ダイワのシーバスロッドは、どのシリーズも2.5m前後から3.35m前後まで用意されています。この中で最初の1本に向くのは、全長2.90m前後、いわゆる9.6ftです。ラテオなら96ML(2.90m/135g)、シーバスフラットXなら96ML(2.90m/145g)が該当します。
2.90mが基準になる理由は、飛距離と取り回しの折り合いが最も良いからです。堤防や河口の護岸では足元から水面まで距離があるため、短すぎるとランディング時に魚を寄せきれません。かといって3.35mクラスになると、橋脚まわりや小規模河川ではロッドを振るスペースが足りなくなります。9.6ftは、その両方をおおむね許容できる長さです。
釣り場が決まっているなら、そこから前後させます。小規模河川や運河のように近距離戦が中心なら2.59m(86ML)が扱いやすく、サーフや大河川の本流で遠投が必要なら3.05m(100M)以上が視野に入ります。注意したいのは、長い竿ほど自重も増えることです。ラテオでも110MHは188g、4ピースの110MH-4は198gあり、慣れないうちは30分で腕が音を上げます。
L・ML・M・MHの表記はルアー重量で読む
パワー表記は硬さのランクで、L(ライト)→ML(ミディアムライト)→M(ミディアム)→MH(ミディアムヘビー)の順に強くなります。ただし「硬さ」で覚えるより、適合ルアー重量で覚えたほうが実用的です。ラテオを例にすると、90Lは5〜28g、96MLは7〜35g、96Mは10〜50g、96MHは12〜60gという配分になっています。
シーバスで最も使用頻度が高いルアーは、12〜14cmクラスのミノーで15〜20g前後、バイブレーションで20〜28g前後です。この帯を余裕を持ってカバーするのがMLとMで、だからこそ各シリーズともML・Mの機種数が最も多くなっています。最初の1本ならMLを選んでおけば、投げられるルアーの選択肢で困ることはまずありません。
ML/MやL/MLのように2つ並んだ表記は、ティップ(穂先)とバット(手元)でパワーを変えた設計を意味します。ラテオ 96ML/Mは自重141gでルアー7〜50gと、96ML(7〜35g)より上限が広く取られています。1本で軽いミノーも重いバイブも投げたいなら有力ですが、その分どちらにも専用機ほどは寄りません。用途が明確な人ほど、素直な単一パワー機のほうが満足度は高くなります。

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電車釣行なら4ピースが選択肢に入る
ラテオには4ピース(4本継ぎ)モデルが用意されていて、90ML-4は全長2.74m・自重133gで希望本体価格36,000円、96M-4は2.90m・151gで37,000円です。同等スペックの2ピース(90Lで31,500円、96Mで32,500円)と比べると4,000〜4,500円の上乗せになります。
この差額を払う価値があるのは、電車やバイクで釣り場に向かう人、遠征や出張のついでに竿を出したい人です。4ピースなら仕舞寸法が短くなり、リュックやスーツケースに収まります。2ピースの9.6ftは仕舞でも1.5m近くあり、電車の車内では相当に気を使う長さです。
一方で継ぎ目が増える分、感度と曲がりの滑らかさでは2ピースにわずかに譲ります。またラテオの場合、2ピースはHVF NANOPLUS、4ピースはHVFカーボンと素材の仕様が異なるため、同価格帯なら2ピースのほうが素材面では上位です。車で釣り場に行けるなら、素直に2ピースを選んだほうが得られるものは多くなります。
「遠投できるほうが有利」と考えて3.35mの110MHクラスを最初の1本に選ぶと、川幅20mの小規模河川や、背後に柵や街灯がある堤防では、まともにキャストできません。原因は、長い竿ほど背後に必要なスイングスペースが増えるためです。対策はシンプルで、行く予定の釣り場をマップで確認し、対岸まで50m未満なら2.59〜2.90m、それ以上なら3.05m以上と、先に長さの上限を決めてから機種表を見ること。長さは後から短くできません。
1万円台で始めるならシーバスフラットX|5機種の実力と割り切りどころ

5機種のスペックと価格を並べて見る
シーバスフラットXは、名前のとおりシーバスとフラットフィッシュ(ヒラメ・マゴチ)を1本でカバーする入門シリーズです。ラインナップは86ML・90ML・96ML・96M・100Mの5機種のみで、迷う余地がないのが最大の利点と言えます。
スペックは、86MLが2.59m/130g/ルアー7〜35g/希望本体価格13,800円、90MLが2.74m/135g/7〜35g/14,300円、96MLが2.90m/145g/7〜35g/14,800円、96Mが2.90m/160g/10〜50g/15,300円、100Mが3.05m/170g/10〜50g/16,300円という構成です。ラインはMLクラスがナイロン8〜16lb・PE0.6〜1.5号、Mクラスがナイロン10〜20lb・PE0.8〜2.0号に対応します。
最初の1本として選ぶなら96MLが基準です。実売は1万円強で買えるので、リールとライン、ルアー数個を足しても2万円台後半で一式そろいます。逆に、サーフでヒラメも狙いたい、あるいは30g前後のメタルジグを多用するなら96Mか100Mを選んでください。ルアー重量の上限を超えた使い方は、ロッドを傷める最短ルートです。
| 機種 | 全長/自重 | ルアー重量 | 希望本体価格 |
|---|---|---|---|
| 86ML | 2.59m/130g | 7〜35g | 13,800円 |
| 90ML | 2.74m/135g | 7〜35g | 14,300円 |
| 96ML | 2.90m/145g | 7〜35g | 14,800円 |
| 96M | 2.90m/160g | 10〜50g | 15,300円 |
| 100M | 3.05m/170g | 10〜50g | 16,300円 |
ブレーディングX一本に絞った潔い設計
シーバスフラットXが搭載する技術はブレーディングXです。ブランクの外周をカーボンテープで斜めに巻き上げ、ネジレを抑える構造で、上位機のX45と考え方の方向性は同じです。エントリーモデルでこれを積んでいるおかげで、キャスト時に竿先が暴れにくく、初心者でも狙った方向にルアーを送りやすくなっています。
この「1つの技術に絞る」という設計は、価格を1万円台に収めるための合理的な選択です。感度や軽さを上げる技術を足せば当然価格は上がり、ラテオの3万円台に近づきます。魚を掛けてから寄せるまでの基本性能は、ブレーディングXだけでも十分に確保されているというのがダイワの判断だと読み取れます。
実際、シーバス釣りで最初にぶつかる壁はロッド性能ではなく、ルアーを通す場所と時間帯の選び方です。潮が動くタイミングに橋脚の明暗へルアーを通せるかどうかで結果は大きく変わります。1万円台のロッドで釣れないのではなく、まだそのタイミングに立てていないだけ、というケースがほとんどです。
| シーバスフラットXが向く人 | 物足りなくなる人 |
|---|---|
| とりあえずシーバスを1匹釣ってみたい 年に数回、3時間程度の釣行が中心 ヒラメ・マゴチも同じ竿で狙いたい 竿より先にリールとラインに予算を回したい | 週末ごとに半日以上振り続ける 自重145gの持ち重りが気になってきた アタリの出方をもっと細かく感じたい 86ML〜100Mの5機種では用途が合わない |
割り切るべきは「自重」と「機種数」の2点
シーバスフラットXの弱点は明確で、自重と機種の少なさです。96MLの145gという数字は、同じ長さのラテオ 96ML(135g)より10g、ラブラックス AGS 96ML(130g)より15g重くなります。朝マズメから昼まで5時間投げ続けるような釣り方をすると、後半で明らかに腕への負担が変わってきます。
もう1つは選択肢の幅です。86ML・90ML・96ML・96M・100Mの5機種は、ラテオの20機種超、モアザンの15機種と比べると大きく絞られています。たとえば「2.82mでMHが欲しい」「軽量ルアー専用にLが欲しい」といった要望には応えられません。釣りのスタイルが固まってきた人ほど、この不足を感じやすくなります。
ただし、これらは全部「使い込んでから分かる不満」です。始める前から上位機を買っても、自分に何が必要かの判断基準がないので選びようがありません。最初の1本で1シーズン通い、そこで見えてきた不満を解消する形で2本目を選ぶ、という順序が結果的に無駄がありません。
3万円台のラテオが「長く使える1本」と言われる理由
20機種超の中で最初に見るべきは96ML/M
ラテオは2ピーススピニング16機種、4ピーススピニング4機種、ベイト5機種、4ピースベイト2機種という大所帯です。この中で汎用性が高いのは96ML/M(全長2.90m/自重141g/ルアー7〜50g/PE0.8〜2.0号/希望本体価格32,500円)です。ティップがML、バットがMという設計で、7gの軽量ミノーから50gのメタルジグまで1本で守備範囲に収めています。
実売価格を見ると、96ML/Mは価格.comの最安で23,215円(税込)、96MLは21,813円(税込・2026年5月時点)と、希望本体価格より1万円近く安く流通しています。3万円台のシリーズと聞くと身構えますが、実際には2万円台前半から手が届く計算です。
用途が絞れているなら、素直な単一パワー機のほうが快適です。河川のシーバス中心なら96ML(2.90m/135g/7〜35g/32,000円)、サーフや大型狙いなら96M(147g/10〜50g/32,500円)や100M(3.05m/152g/35,000円)。逆に「まだどこで釣るか決めていない」段階なら、対応範囲の広い96ML/Mを選んでおけば外しません。
ラテオが「長く使える」と言われるのは、ML・M・MHが2.59mから3.35mまで刻まれていて、釣りのスタイルが変わっても同じシリーズ内で買い足せるからです。最初の1本を96ML/Mにしておけば、次にどの方向へ進んでも隣の番手が用意されています。
X45・V-JOINT・AIR SENSOR SEATが効いてくる場面
ラテオの2ピースモデルには、HVF NANOPLUS、X45、V-JOINT、AIR SENSOR SEATが搭載されています。X45は45度方向のバイアスクロスでネジレを抑える構造、V-JOINTは継ぎ目の硬さの段差を減らす継ぎ構造、AIR SENSOR SEATはカーボンファイバー入りのリールシートです。
この組み合わせが最も効くのは、向かい風の中で20g前後のルアーをフルキャストする場面です。ネジレが抑えられていると復元力が素直に前へ向かうため、風に押されても失速しにくくなります。またV-JOINTは、魚を掛けた後の曲がりが継ぎ目でカクッと折れないので、エラ洗いへの追従が滑らかになります。
AIR SENSOR SEATのようなカーボン入りリールシートは、感度面でも意味があります。金属より軽く、振動を手のひらへ伝えやすいため、着底やボトムの質の変化が分かりやすくなります。ただし冬の夜釣りでは金属シートより冷たさを感じにくい反面、素手で長時間握ると硬さが気になるという声もあります。冬場はグローブを併用したほうが快適です。
4ピースは4,000円増しで手に入る「持ち歩ける9.6ft」
ラテオの4ピースは、90ML-4(2.74m/133g/7〜35g/36,000円)、96M-4(2.90m/151g/10〜50g/37,000円)、106M-4(3.20m/174g/10〜50g/40,500円)、110MH-4(3.35m/198g/12〜60g/42,500円)の4機種です。ベイトモデルにも86MLB-4(38,000円)と93MB-4(39,500円)が用意されています。
面白いのは、90ML-4の自重133gが2ピースの90L(124g)や90M(138g)とほぼ同じ水準に収まっていることです。継ぎが増えると重くなるのが一般的ですが、実用上不利にならない範囲に抑えられています。旅行カバンに入る9ftクラスがこの重量で使えるなら、出張の多い人には十分検討に値します。
注意点は、継ぎ数が増えるほど「継ぎの緩み」に気を配る必要があることです。キャストを繰り返すうちに継ぎ目が少しずつ緩み、そのまま振り続けると破損につながります。4ピースを使うなら、1時間おきに継ぎ目を押し込み直す習慣をつけてください。この一手間を惜しむと、高い授業料を払うことになります。
5万円台のラブラックスAGSと7万円台のモアザンは何が違う?
ラブラックスAGSは「軽さ」に振り切ったシリーズ
ラブラックス AGSは全12機種で、希望本体価格51,400〜56,000円。最大の特徴は、AGSガイド採用による軽さです。86MLが2.59m/112g、90Lが2.74m/113g、96MLが2.90m/130g、100Mが3.05m/144gと、3m級でも140g台に収まっています。
軽さがはっきり効くのは、ドリフトやデッドスローリトリーブのように、ルアーを長時間ゆっくり引き続ける釣り方です。竿が軽いと腕の力を抜いた状態を維持でき、余計な入力がルアーに伝わりません。結果としてルアーの姿勢が安定し、シーバスが見切りにくくなります。
ラインナップは86ML・90L・90ML・93ML・93M・96ML・96M・96MH・100ML・100M・110M-3・110MH-3という構成で、3ピースの110M-3(3.35m/167g/54,000円)と110MH-3(3.35m/180g/56,000円)はサーフや大河川向けの遠投機です。一方で、モアザンにあるような細かなティップ違いの選択肢は少なめなので、「特定の釣り方に最適化した1本」を探している人には物足りなく映るかもしれません。
モアザンの価値は「番手の細かさ」にある
モアザンは希望本体価格67,000〜84,000円で、スピニング12機種+ベイト3機種の計15機種。83L/ML(2.51m/110g/5〜35g/67,000円)から106M/MH(3.20m/170g/10〜60g/84,000円)まで、ほぼ全機種がティップとバットで異なるパワーを組み合わせた設計になっています。
たとえば93ML/M(2.82m/127g/5〜40g/73,000円)と96ML/M(2.90m/133g/7〜40g/75,000円)は、8cmの全長差しかありません。この刻み方は、釣り場ごとに使い分けたい人へ向けたものです。同じ河川でも、橋脚まわりと河口部で最適な長さは変わるため、2本目・3本目として買い足す前提の構成になっています。
裏を返すと、1本目としてモアザンを買うのはやや過剰です。7万円のロッドを買っても、使い分ける相手のロッドがなければ細分化の恩恵は受けられません。ベイトモデルの93LMLB(2.82m/130g/5〜30g/76,000円)や104MB(3.15m/162g/81,500円)も同様で、スピニングで基礎ができてから手を出す領域です。
9万円台のブランジーノEX AGSは誰のための竿か
モアザン ブランジーノ EX AGSは希望本体価格85,000〜98,500円。AGS、V-JOINTα、AIR SENSOR SEAT、SVF COMPILE-Xナノプラス、X45フルシールド、CWSと、ダイワが持つ技術をほぼ全部載せしたシリーズです。
数字で見ると異質さが分かります。87LMLは全長2.62mで自重97g、94LMLは2.85mで105g。2.85mで105gというのは、シーバスフラットXの86ML(2.59m/130g)より25cm長くて25g軽いということです。最上位の1010ML/Mでも3.30m/153gで、ラテオの100M(3.05m/152g)とほぼ同じ重さに収まっています。
この軽さが価値を持つのは、1回の釣行で数百投を繰り返し、わずかな変化からパターンを組み立てる人です。逆に、月1〜2回の釣行で数十投なら、この差を感じ取る前に釣行が終わります。9万円をロッド1本に使うより、防寒着・ウェーダー・ライフジャケット・ライトを一式そろえたほうが、釣行回数そのものが増えて釣果は伸びます。
「高い竿ほど飛ぶ」と思われがちですが、飛距離を決めているのはロッド単体ではありません。ラインの太さ、リールのスプール形状、ルアーの空気抵抗、そしてキャストのタイミングの合計です。PE1.5号を1.0号に落とすだけで飛距離が数メートル変わることは珍しくなく、これは9万円の竿と1万円の竿の差より大きく出る場合があります。飛距離に悩んでいるなら、まずラインの号数とリールの糸巻き量を見直すほうが投資効率は高くなります。

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船から狙うなら選び方の前提が変わる
ラテオBSは1.93〜2.26mの短竿シリーズ
ボートシーバスで陸っぱり用の9.6ftを使うと、船べりでの取り回しが成立しません。そのため専用シリーズとしてラテオ BSが用意されています。スピニングは64MS・W(1.93m/97g/7〜35g/30,500円)、67MLS・W(2.01m/95g/5〜25g/30,500円)、69MS・W(2.06m/98g/7〜35g/31,000円)、72MHS・W(2.18m/107g/10〜40g/33,000円)、68MHS・W(2.03m/110g/10〜50g/34,000円)、75MHS・W(2.26m/121g/10〜50g/35,000円)という構成です。
特徴は、全長が2m前後まで短い代わりに自重が100g前後と軽いことです。船の上では立ち位置が固定され、キャスト方向も限られるため、長さより「振り抜きやすさ」と「魚を寄せる力」が優先されます。最初の1本なら69MS・Wが基準になり、ビッグベイトや重いバイブを扱うなら72MHS・Wや75MHS・Wが向きます。
注意点は、これらが完全に船専用という点です。全長2m前後では堤防から足元の魚を抜き上げるのが難しく、陸っぱりとの兼用は現実的ではありません。船釣りが年1〜2回なら、まずは船宿のレンタルタックルを使い、通う頻度が増えてから購入を検討したほうが無駄がありません。
ビッグベイトを投げるならベイトモデル
ダイワのシーバスロッドには各シリーズにベイトモデルが用意されています。ラテオなら86MLB(2.59m/136g/7〜35g/33,500円)、93MB(2.82m/146g/10〜50g/35,000円)、103MB(3.12m/179g/10〜50g/36,500円)、そしてビッグベイト対応の80XHB(2.44m/180g/ルアーMAX130g/PE2.0〜4.0号/36,500円)です。
80XHBのルアーMAX130gという数字は、一般的なシーバスロッドの常識から外れています。130gは140mm級のビッグベイトや大型ジョイントルアーを想定した設定で、スピニングの96ML(7〜35g)とは別ジャンルの釣りになります。ラテオBSにも66XHB・W(1.98m/126g/MAX130g/35,000円)という船用のビッグベイト機があります。
ベイトタックルは、重いルアーを狙った場所へ正確に落とす釣りに強い一方、バックラッシュ(スプールの糸が絡むトラブル)という壁があります。慣れるまでは1回の釣行で何度もライントラブルを起こすので、最初の1本には向きません。スピニングで基本のキャストができるようになってから、2本目以降の選択肢として考えてください。
遠征に持っていくなら4ピースと船竿のどちらが正解?
旅先で竿を出したいという相談で迷いやすいのが、ラテオの4ピース(90ML-4=2.74m/133g/36,000円)とラテオ BSの短竿(69MS・W=2.06m/98g/31,000円)のどちらを持っていくか、という選択です。仕舞寸法だけ見れば、2m級の1ピース〜2ピース船竿もカバンに入りそうに思えます。
答えは釣り方で決まります。陸から投げるなら4ピース一択です。ラテオ BSの2m前後は船べりから真下へ落とす、あるいは至近距離へ軽く投げる想定の長さなので、堤防や河川で遠投しようとすると飛距離が伸びず、足元での抜き上げにも不安が残ります。逆に、行き先で乗合船に乗る予定がはっきりしているなら、専用の船竿を持ち込んだほうが1日快適です。
迷ったときの実用的な線引きは、「その旅程で確実に船に乗るか」です。乗るかどうか未定なら4ピース、乗ることが確定しているなら船竿。両方を1本で兼ねようとすると、どちらの釣り場でも中途半端になります。荷物を減らしたい気持ちは分かりますが、竿の長さだけは妥協が効きにくい部分です。
「せっかく買った竿だから」と2.90mのロッドをボートシーバスに持参すると、隣の釣り人とラインが絡む、船べりで穂先をぶつける、狭い船上で振りかぶれない、という3つの問題が同時に起きます。原因は、船上ではキャストの角度も立ち位置も自由に取れないこと。対策は、初回は船宿のレンタルロッドを借りて、船上での取り回しを体感してから購入すること。ラテオBSの2m前後という長さが「短すぎる」ではなく「ちょうどいい」と分かってから買えば、選択を誤りません。
買う前に知っておきたい価格・耐久・組み合わせの話
希望本体価格と実売価格は3割前後ちがう
ダイワ公式に載っているのは希望本体価格(税抜の本体価格)で、店頭やネット通販の実売価格はこれより下がるのが通常です。実例として、シーバスフラットX 96MLは希望本体価格14,800円に対し実売10,700〜10,780円程度(2026年4月時点)、ラテオ 96MLは希望本体価格32,000円に対し価格.com最安21,813円(税込・2026年5月時点)でした。
この差を知らないと、予算3万円の人が「ラテオは無理」と最初から候補から外してしまいます。実際には2万円台前半で買える計算になるので、シーバスフラットXとの差額は1万円ほどです。1万円の差で自重10g減・搭載技術3つ増となれば、判断は変わってくるはずです。
ただし、モデルチェンジ直後は値引きが小さく、逆に旧モデルは大きく下がるという傾向があります。急がないなら、新旧の入れ替わり時期を狙って旧モデルを買うのは合理的な選択です。注意点は、あまりに古いモデルはパーツ供給が終わっている可能性があること。購入前に、そのモデルが公式サイトの現行製品一覧に載っているかを確認しておくと安心です。
ロッドが折れる原因の大半はキャストではない
もう1つ意外に多いのが、魚を抜き上げるときの破損です。堤防から60cm級のシーバスをロッドだけで抜き上げようとすると、穂先寄りに負荷が集中して一気に折れます。50cmを超えるサイズが出る釣り場では、タモ(ランディングネット)を必ず持参してください。ロッド代を1万円節約してタモを買わないのは、順序が逆です。
メンテナンスは、釣行後に真水で洗って陰干しするだけで十分です。特にガイドのリング内側と、リールシートのネジ部分に塩が残りやすいので、そこだけは意識して流してください。塩ガミしたリールシートは固着して外れなくなり、修理に出す羽目になります。
予算別・レベル別の組み合わせ提案
ロッド単体ではなく、タックル一式で考えると選択がはっきりします。【〜3万円/まず1匹釣りたい】シーバスフラットX 96ML(実売1万円強)+3000番クラスのスピニングリール(1万円前後)+PE1.0号+ミノーとバイブを3個ずつ。これで釣り場に立てます。ロッドに予算を寄せるより、ルアーの種類をそろえたほうが対応力が上がります。
【3〜6万円/シーズンを通して通う】ラテオ 96ML/M(実売2万円台前半)+2万円台のリール+PE1.0〜1.2号。ここまで来ると1日振り続けても疲れにくく、ロッドが理由で釣れないという状況はほぼなくなります。長く使う前提なら、この帯が最も費用対効果に優れます。
【6万円以上/釣り方を絞り込む】ラブラックス AGS 96MLやモアザン 96ML/Mを軸に、用途別に2本目を足していく段階です。ここから先は「どの釣り方を突き詰めるか」で最適解が変わるので、汎用性ではなく専用性で選びます。船に通うようになったらラテオ BS 69MS・W、ビッグベイトを始めるならラテオ 80XHB、といった具合に足していくと無駄がありません。

「ダイワのリールでコスパ最強のモデルはどれ?」「初心者だけどどのグレードを買えばいいの?」と悩んでいませんか。ダイワのスピニングリールは、実売5,000円クラス…
まとめ|ダイワシーバスロッドは予算帯で決めて、長さとパワーで詰める
ダイワのシーバスロッドは機種数こそ多いものの、構造そのものは整理されています。エントリーのシーバスフラットXが5機種、中核のラテオが20機種超、AGS搭載のラブラックス AGSが12機種、細分化されたモアザンが15機種、そして技術全部載せのブランジーノ EX AGS。価格が上がるにつれて増えるのは、釣れる確率ではなく「自分の釣り方に合わせ込める精度」です。
だからこそ、最初の1本で高いものを買う必要はありません。まだ自分がどこで、どんなルアーで、どのくらいの頻度で釣るのか分からない段階では、合わせ込む対象がないからです。9.6ftのMLを1本買って1シーズン通えば、「もう少し軽ければ」「あと30cm短ければ」という具体的な不満が出てきます。その不満こそが、2本目を正しく選ぶための材料になります。
最初の一歩としておすすめしたいのは、行きたい釣り場を1か所決めて、その対岸までの距離をマップで測ることです。50m未満なら2.59〜2.90m、それ以上なら3.05m以上。この1つの数字が決まれば、候補は一気に数機種まで絞れます。あとは予算に合わせてシリーズを選び、ルアー重量7〜35gのMLを選べば完了です。ロッドが決まったら、PEライン1.0号とタモを忘れずにそろえて、潮が動く時間帯に立ってみてください。
※本記事のスペック・希望本体価格はDAIWA公式サイト掲載値をもとにしています。ラインナップと価格は改定される場合があるため、購入前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

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