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釣具店のエギングロッドコーナーに立って、竿尻に貼られた「86ML」「86M」「83MH」というシールを見比べたまま10分経ってしまった——エギングを始めようとした人がほぼ必ず通る場面です。長さは8.6フィートで揃っているのに、最後のアルファベットだけが違う。この違いが何なのか分からないまま、店員さんに聞くのも気が引けて、結局その日は買わずに帰る。よくある話です。
結論から言います。エギングロッドの硬さ表記は「そのロッドが気持ちよく扱えるエギの重さの範囲」を示すラベルです。アルファベットの意味を暗記する必要はありません。カタログの「適合エギサイズ(号)」という数字を見れば、硬さの正体はその場で分かります。そして最初の1本なら、ML(ミディアムライト)かM(ミディアム)のどちらかを選べば、まず外しません。
この記事では、UL・L・ML・M・MHという5段階の並び方から、メーカーが公表している適合エギ号数の実データ、季節と釣り場による正解の入れ替わり、硬さ選びで実際に起きる失敗とその回避策まで、順を追って整理します。読み終わるころには、店頭で竿尻のシールを見ただけで「これは自分の釣りに合う/合わない」を判断できるようになっているはずです。
・UL/L/ML/M/MHの並び順と、それぞれが担当するエギの号数
・同じ「M」でもメーカーで適合エギ号数がずれる理由と実データ
・秋イカ・春イカ・釣り場タイプ別の硬さの使い分け
・硬すぎ/柔らかすぎを選んだときに実際に起きるトラブルと対策
・硬さ別の現行モデルと本体価格の目安
エギングロッドの硬さはUL〜MHの5段階|表記が示すのは「投げられるエギの重さ」

柔らかい順にUL→L→ML→M→MH、この並びだけ覚えれば十分
エギングロッドの硬さは、柔らかいものから順にUL(ウルトラライト)、L(ライト)、ML(ミディアムライト)、M(ミディアム)、MH(ミディアムヘビー)と表記されます。この5段階の並び順さえ頭に入っていれば、店頭でロッドを手に取ったときに「これは真ん中より柔らかい側だな」と即座に位置づけができます。
実際のラインナップを見ると分かりやすいはずです。ダイワのエメラルダスXは全10機種で構成されていて、76UL-S、79L-S、79ML、83ML、86ML、79M、83M、86M、89M、83MHという内訳になっています。UL・L・ML・M・MHの5段階がひととおり揃っていて、そのうちMLが3機種、Mが4機種と、真ん中の2段階に機種が集中しているのが読み取れます。メーカーが「多くの人が使うのはこの帯」と考えている場所が、機種数にそのまま表れているわけです。
使い方としては、まず自分が通う釣り場と季節を思い浮かべ、そこで投げるエギの号数を決めます。その号数が真ん中に収まる硬さを選ぶ、という順番になります。逆に、硬さから先に決めてしまうと「買ったけれど手持ちのエギが使えない」という事態になりかねません。注意したいのは、この表記があくまでメーカー内での相対的な区分だという点です。次の見出しで詳しく触れますが、A社のMとB社のMは同じ硬さとは限りません。
硬さの正体は「適合エギサイズ(号)」という数字にある
アルファベットの意味を丸暗記するより、カタログの「適合エギサイズ」欄を見るほうが早く、正確です。エメラルダスXの公式スペックで並べると、UL(76UL-S)が1.5〜2.5号、L(79L-S)が1.5〜3.5号、ML(79ML・83ML・86ML)が1.8〜3.5号、M(79M・83M・86M・89M)が2.5〜4.0号、MH(83MH)が3.0〜4.5号となっています。硬くなるほど数字が上へスライドしていくのが一目で分かります。
ここで効いてくるのが、エギの号数が実際には何グラムなのかという話です。ヤマシタのエギ王Kの公式スペックでは、2.5号が自重11g、3号が16g、3.5号が22g、4号が26gとされています。2.5号と4号では15gの差があり、これは同じ竿で扱うには開きが大きすぎる重量差です。硬さ表記は、この重量差を5段階に切り分けて「あなたの竿の担当範囲はここ」と示しているラベルだと考えてください。
具体的な使い方として、店頭ではまず竿尻のシールではなくカタログの号数欄を見ます。「秋に2.5号と3号を投げたい」なら下限が2.5号以下の機種、「春に3.5号と4号を投げたい」なら上限が4.0号以上の機種、という絞り込みができます。注意点として、適合範囲の上限ぎりぎりのエギを1日投げ続けると、ロッドへの負担が大きくなります。上限は「投げられる限界」であって「快適に扱える重さ」ではありません。
硬いほど遠くへ飛び、柔らかいほどイカが離さない
硬さの違いは、釣りの中で2つの形になって現れます。硬いロッドは重いエギを遠くへ投げやすく、強いシャクリでエギを大きく跳ね上げられます。柔らかいロッドは軽いエギを扱いやすく、イカが触ったときの違和感を弾きにくいという特性があります。飛距離とパワーを取るか、食い込みの良さを取るか、というトレードオフです。
この差が効く場面ははっきりしています。沖の潮目まで4号エギを届かせたい、風速5m前後の向かい風の中で3.5号を沈めたい、といった状況ではMH寄りの硬さが仕事をします。反対に、漁港内で2.5号をゆっくり見せて秋の小型を数釣りしたい、水温が下がって反応が鈍いイカにスローなジャークで見せたい、といった場面ではML寄りが有利になります。エメラルダスX 86MLの適合ラインがPE0.5〜1.0号、86Mが0.5〜1.2号と、上限側にも差がつけられているのは、想定している釣りの重さが違うからです。
デメリットも正直に書いておきます。硬いロッドは感度が高いぶん、アタリを弾いてしまうことがあります。柔らかいロッドはシャクったときに力がティップで吸われ、エギの跳ね上がりが弱くなります。どちらか一方を選べばすべてが良くなる、という道具ではありません。だからこそ「自分が投げるエギの号数」を先に決める必要があるのです。
なお、硬さと同じくらい釣り味を左右するのが長さです。8.6フィートを基準に前後1フィートで何が変わるのかは、こちらで詳しくまとめています。

「エギングロッドの長さって、結局どれを選べばいいの?」——エギングを始めようと釣具店のロッドコーナーに立つと、8.0フィートから9.0フィートを超えるものまでズ…
| 硬さ表記 | 適合エギ(エメラルダスX) | 得意な場面 | 苦手な場面 |
|---|---|---|---|
| UL | 1.5〜2.5号 | 初秋の豆イカ・ヒイカ | 3号以上の遠投 |
| L | 1.5〜3.5号 | 低活性時のスロー展開 | 強風下のフルキャスト |
| ML | 1.8〜3.5号 | 秋の数釣り・漁港内 | 4号クラスの重いエギ |
| M | 2.5〜4.0号 | 通年の万能運用 | 2号以下の軽量エギ |
| MH | 3.0〜4.5号 | 春の大型・ディープ | 秋の小型の掛け合わせ |
MLとM、最初の1本はどっちを買えばいい?
3.5号エギを基準に置くと、迷いが半分に減る
最初の1本で迷ったら、3.5号エギを基準に考えてください。エギングで最も出番が多いのが3.5号で、ヤマシタのエギ王Kなら自重22g、沈下速度は約3秒/mというスペックです。この1本を軸に、秋は2.5〜3号へ落とし、春は4号へ上げる、というのがオーソドックスな組み立てになります。
この基準をエメラルダスXの適合エギ号数に当てはめると、MLは1.8〜3.5号なので3.5号が上限ぎりぎり、Mは2.5〜4.0号なので3.5号がちょうど真ん中に入ります。つまり「3.5号をいちばん気持ちよく扱えるのはM」「3.5号までは扱えるが軽いエギ寄りに振ってあるのがML」という関係です。カタログの数字を見るだけで、キャッチコピーを読まなくても性格が分かります。
使い分けの目安として、年間を通じて1本で回すつもりならM、秋の数釣りから入って徐々に春へ広げるつもりならMLが素直です。注意したいのは、この判断は「どちらが上位か」ではないという点です。Mのほうが硬い=高性能ということはありません。軽いエギを多用する人にとっては、Mは持て余す硬さになります。
MLが向くのはこんな人|漁港メイン・秋スタート・エギは3号まで
MLを選んで満足度が高いのは、堤防や漁港内をランガンする人です。足元から20m先までを2.5〜3号のエギで丁寧に探る釣りでは、MLの柔らかめのティップが効きます。エメラルダスX 86MLは全長2.59m、自重103g、適合ラインPE0.5〜1.0号というスペックで、細めのラインを使った軽い釣りに寄せた設計になっています。
根拠として挙げておきたいのが、エギングを始める時期です。多くの人は秋、それも9月から11月のアオリイカの新子シーズンに始めます。この時期の主役は2.5号と3号で、エギ王Kなら11gと16g。22gの3.5号と比べると軽く、硬い竿では飛距離もアクションも出しにくい重量帯です。MLはこの帯にちょうど合います。
具体的な場面としては、常夜灯が点いた漁港でシャローエギをゆっくり見せる釣り、テトラ帯の隙間を2.5号で撃っていく釣りなどが挙げられます。デメリットは、春の大型狙いで4号エギを投げたくなったときに範囲外になること。エメラルダスXのMLは上限3.5号なので、4号を常用するなら別の1本が必要になります。
Mが向くのはこんな人|春も狙う・風が強い・サーフや磯にも立つ
Mが向くのは、1本で春と秋の両方をカバーしたい人です。エメラルダスX 86Mは全長2.59m、自重106g、適合エギ2.5〜4.0号、適合ラインPE0.5〜1.2号。86MLと比べると自重で3g重く、上限側が0.5号ぶん広がっています。この0.5号の差が、春の親イカシーズンに効いてきます。
数字で見ると差は小さく感じますが、エギ王Kの3.5号が22g、4号が26gですから、4gの違いです。この4gを投げ切れるかどうかで、届く距離が変わり、沈められる水深が変わります。風速5mクラスの横風の中で3.5号を送り込む場面でも、Mのバットの強さが効きます。
使う場面としては、サーフからの遠投、磯場での足場の高いキャスト、春の深場をディープタイプのエギで探る釣りなどです。注意点は、秋の豆イカシーズンに2号以下の軽いエギを使いたくなったとき。エメラルダスXのMは下限が2.5号なので、それより軽いエギは乗せにくくなります。
それでも決まらないときは「行く釣り場の水深」で決める
MLとMで最後まで迷ったら、通う予定の釣り場の水深で決めるのが実用的です。水深5m前後の漁港内が中心ならML、水深10mを超える堤防先端やサーフ、磯が中心ならMが素直な選択になります。
理由は沈下速度にあります。エギ王Kの3.5号は沈下速度が約3秒/mですから、水深10mの底を取るのに約30秒かかります。この間、ラインが潮に流されて糸フケが出続けます。深い場所では自然と重いエギやディープタイプに手が伸びるため、上限側に余裕のあるMが有利になるわけです。逆に水深5mなら約15秒で着底し、軽いエギでも十分に底が取れます。
この決め方の便利なところは、カタログを見なくても判断できる点です。行きつけの釣り場が決まっている人なら、水深はすでに知っているはずです。デメリットは、複数の釣り場を回る人には決め手にならないこと。その場合は「年間で最も多く行く場所」を基準にしてください。
同じ「M」でもメーカーで中身が違う【釣りはじめナビ調べ】

ダイワとシマノで、Mの下限が0.5号ずれている
ここが硬さ選びでいちばん誤解されている部分です。硬さ表記は業界共通の規格ではなく、各メーカーが自社のラインナップ内で相対的に付けているラベルにすぎません。だから「M同士だから同じ硬さ」という前提は成り立ちません。
実データで見てみます。ダイワのエメラルダスXはMが適合エギ2.5〜4.0号。一方、シマノのセフィアBBはMクラス(S83M・S86M・S89M)が2〜4号です。下限が0.5号ずれています。MLで比べると、エメラルダスXが1.8〜3.5号に対し、セフィアBBのMLクラス(S83ML・S86ML・S89ML)は1.8〜3.8号。今度は上限が0.3号ずれます。
この差が効くのは、手持ちのエギとロッドを突き合わせるときです。「2号のエギをメインに使いたい」という人がエメラルダスXのMを買うと範囲外ですが、セフィアBBのMなら範囲内です。逆に「3.8号のエギを使いたい」場合、エメラルダスXならM以上が必要ですが、セフィアBBならMLで足ります。注意点として、この数値はロッドの世代が変わると更新されます。買う前に必ず現行の公式スペックを確認してください。
硬さ表記別・メーカー横断の適合エギ号数比較(釣りはじめナビ調べ)
2社の現行ラインナップを、硬さ表記ごとに横並びにしたのが下の表です。同じアルファベットでも担当する号数帯が微妙にずれていること、そしてMLとMの守備範囲が実はかなり重なっていることが読み取れます。
| 硬さ表記 | ダイワ エメラルダスX | シマノ セフィアBB | ずれ方 |
|---|---|---|---|
| UL / SUL | 1.5〜2.5号 | 1.5〜2.5号 | ほぼ一致 |
| L | 1.5〜3.5号 | 1.5〜3.5号 | 一致 |
| ML | 1.8〜3.5号 | 1.8〜3.8号 | 上限が0.3号ちがう |
| M | 2.5〜4.0号 | 2〜4号 | 下限が0.5号ちがう |
| MH | 3.0〜4.5号 | 2.5〜4.5号 | 下限が0.5号ちがう |
表を眺めて気づいてほしいのは、MHの下限です。エメラルダスXのMHは3.0号からですが、セフィアBBのMHは2.5号から使えることになっています。「MHは春専用」と決めつけると、選択肢を狭めてしまう場合があるということです。この比較は各社の公表スペックをもとに釣りはじめナビでまとめたもので、実際の振り感まで同じという意味ではありません。
実は、硬さのアルファベットより先に見るべき欄がある
硬さのアルファベットは「メーカー内の相対値」、適合エギ号数は「絶対値」です。異なるメーカーのロッドを比べるなら、アルファベットを無視して号数欄だけを並べたほうが早く、間違いも起きません。
意外と知られていませんが、上級者ほど硬さ表記ではなく適合エギ号数と適合ライン号数で機種を絞り込みます。理由は単純で、そのほうが誤差が出ないからです。アルファベットは「そのメーカーの中でどのくらいの位置か」を示す相対的なラベルですが、号数はグラム数に直結する絶対値です。
実践するときは、カタログやオンラインストアのスペック表で「適合エギサイズ」と「適合ライン」の2列だけを見て候補を並べます。たとえば「3号を主軸に、たまに3.5号も投げたい。PEは0.6号」という条件なら、エメラルダスXなら86ML(1.8〜3.5号/PE0.5〜1.0号)と86M(2.5〜4.0号/PE0.5〜1.2号)の両方が該当し、そこから自重103gと106gの差、価格の差で決めていく、という進め方になります。
この方法のデメリットは、実際の曲がり方(調子・テーパー)が数字に出ないことです。同じ適合号数でも、先調子で張りのあるブランクと、胴まで曲がるブランクでは振り感が違います。だからこそ、候補を2〜3本に絞ったあとは店頭で実際に振ってみる工程が必要になります。数字で絞り、感触で決める。この順番が失敗しにくいやり方です。
硬すぎる竿を選んだ人が最初にぶつかる壁
秋の小型が身切れで外れる|原因はパワー過多
硬すぎるロッドを選んだときに最初に起きるのが、掛けたイカが途中で外れる現象です。小型のアオリイカに硬いロッドでアワセを入れると、パワーが強すぎて身切れすることがあります。これが硬いロッドでのバラシの主な原因です。
秋の新子シーズンに狙う胴長10cm前後のアオリイカは、身が柔らかく、カンナが刺さった部分が裂けやすい状態です。ここへMHクラスの張りのあるブランクで強くアワセを入れると、力の逃げ場がなくカンナが身を破ってしまいます。エメラルダスXのMHが適合エギ3.0〜4.5号、つまり16g以上のエギを想定した設計であることを考えれば、11gの2.5号を投げて胴長10cmのイカを掛ける釣りとは前提が違うと分かります。
対策は2つあります。1つは、そもそも秋メインならMH以上を避け、ML〜Mに収めること。もう1つは、すでに硬いロッドを持っている場合、ドラグを緩めに設定してアワセの衝撃を逃がすことです。ラインをPE0.6号まで落として伸びを稼ぐのも有効です。注意点として、ドラグを緩めすぎるとフッキングそのものが決まらなくなるので、指でラインを引いて少し出る程度が目安になります。
2.5号が飛ばない・シャクリが決まらない
硬すぎるロッドのもう1つの症状が、軽いエギを投げたときの飛距離不足です。ロッドは曲げて戻る力でルアーを飛ばしますから、11gの2.5号ではMHクラスのブランクを十分に曲げられず、竿の反発が使えません。腕の力だけで投げることになり、飛距離が伸びません。
数字で見ると分かりやすいはずです。エギ王Kは2.5号が11g、4号が26g。MHが想定しているのは後者に近い重量帯ですから、11gは想定の半分以下です。適合エギ号数の下限を下回るエギは「投げられないわけではないが、竿の性能が使えない」状態になります。
シャクリでも同じことが起きます。硬いロッドで軽いエギをシャクると、ロッドは曲がらずラインだけが引っ張られ、エギが水平に滑るだけの動きになりがちです。対策としては、ロッドを持ち替えるのが本筋ですが、応急処置ならエギをディープタイプやシャロータイプではなくノーマルの重い号数へ上げて、竿を曲げられる重さに合わせます。デメリットは、イカが小さいときに大きいエギでは反応が落ちること。根本的には硬さを合わせるしかありません。
買う前にできる対策|下限号数とPE号数の2つを確認する
適合エギ号数の「上限」は気にする人が多いのに、「下限」を見落とす人が目立ちます。秋の小型狙いで失敗するのは、ほぼ下限の確認漏れが原因です。エメラルダスXならMの下限が2.5号、MHの下限が3.0号。ここを先に見てください。
硬すぎを避けるためのチェックは2点だけです。1つ目は適合エギ号数の下限が、自分が使う最小のエギ以下になっているか。2つ目は適合ラインの下限が、自分が巻きたいPE号数以下になっているか。エメラルダスXならMLがPE0.5〜1.0号、MがPE0.5〜1.2号なので、PE0.4号を使いたい人はどちらも範囲外だと分かります。
根拠として、適合ライン表記はロッドが安全に扱えるライン強度の目安です。細すぎるラインを硬いロッドで使うと、アワセや根掛かり時に糸のほうが先に切れます。逆に太すぎると、ロッドの限界を超える負荷がブランクにかかります。この2つの数字は、硬さのアルファベットよりも実害に直結します。
店頭での具体的な確認方法としては、値札の下にあるスペックシールか、スマートフォンでメーカー公式ページを開いて号数欄を見るだけです。所要時間は1分もかかりません。注意点は、通販サイトの商品説明に書かれた数値が旧モデルのままになっている場合があること。必ずメーカー公式の現行スペックで確認してください。
秋イカと春イカで、硬さの正解は入れ替わる
秋(9〜11月)の主役は2.5〜3号|MLが素直に効く
秋のアオリイカシーズンは、その年に生まれた新子が浅場に群れる時期です。主に使うエギは2.5号と3号で、エギ王Kのスペックなら11gと16g。この重量帯を扱うなら、適合エギ1.8〜3.5号のMLがちょうど守備範囲の真ん中になります。
この時期のイカは活性が高く、エギを見つければ追ってきます。だから遠投性能よりも、手前を丁寧に、テンポよく探れることのほうが釣果に直結します。MLの軽さ——エメラルダスX 86MLなら自重103g——は、1日中シャクリ続ける秋の釣りで疲労の差になって表れます。
使い方の例としては、漁港の常夜灯周りで2.5号を投げ、3回シャクって5秒フォール、を繰り返すパターン。テトラや藻場の際を3号で撃つパターン。どちらもMLの範囲です。注意点として、秋でも11月に入って個体が育ってくると3.5号の出番が増えます。エメラルダスXのMLは上限3.5号なので範囲内ですが、上限ぎりぎりの運用になることは覚えておいてください。
春(4〜6月)は3.5〜4号|M〜MHへ一段上げる
春は産卵のために接岸する親イカを狙う季節です。狙うサイズが上がるぶん、使うエギも3.5号から4号へと大きくなります。エギ王Kなら22gと26g。秋の11gと比べると倍以上の重さで、同じロッドで扱うには無理があります。
春の良型狙いや沖目狙いにはMHパワーが使われます。理由は2つあり、1つは重いエギを遠投して深場やブレイクを探る必要があること、もう1つは大型のイカが乗ったときにブランクで浮かせるパワーが要ることです。エメラルダスXの83MHは適合エギ3.0〜4.5号、適合ラインPE0.6〜1.2号と、上限側に振った設計になっています。
ただし、春だからMH一択というわけではありません。春の神経質なイカに対して、あえてナチュラルに誘えるMLやLを選ぶという考え方もあります。柔らかいティップのほうがエギの動きが抑えられ、警戒心の強い個体に見切られにくいという理屈です。デメリットは、大型が乗ったときのやり取りに時間がかかること。藻場やテトラ際で掛けると、根に潜られるリスクが上がります。
通年1本で回すなら、ML寄りかM寄りかは「上限」で決める
年に何度も釣行できるわけではない、まずは1本で通年やりたい——という人は多いはずです。この場合の判断基準は、上限側の号数です。4号を使う予定があるならM、3.5号までで足りるならML。この線引きがいちばんシンプルです。
実際、MLは秋アオリから春アオリまでオールシーズン使えるという評価があり、ティップは柔らかくてもブランクスにフッキングパワーがあるため良型のアオリイカでも対応できるとされています。つまり「MLでは春の大型に勝てない」というのは言いすぎで、4号エギを投げる必要があるかどうかが分かれ目だということです。
具体的な選び方としては、通う釣り場で春に4号が必要かどうかを、地元の釣具店や釣果情報で確認します。水深があってディープタイプを使う地域ならM、シャローの藻場が中心ならMLで足ります。注意点は、迷ったときにMHを選ばないこと。MHは下限が3.0号(エメラルダスXの場合)なので、秋の2.5号が範囲外になり、通年運用には向きません。
釣り場タイプ別|漁港・サーフ・磯で必要な硬さは変わる
季節と同じくらい、立つ場所も硬さの正解を変えます。足場が低く、キャスト距離が短い漁港内ならML。足場が高く、遠投が前提のサーフや堤防先端ならM。潮流が速く、根が荒い磯ならMHという整理になります。
理由は、必要になるエギの重さと、掛けたあとに主導権を取れるかどうかです。磯では掛けた瞬間にイカを根から引き離す必要があり、柔らかいロッドでは対応が一歩遅れます。一方、漁港内は障害物が少なく、多少やり取りに時間がかかっても取り込めます。エメラルダスXの89Mが全長2.67m・自重109gとロング寄りに設定されているのも、遠投を前提とした釣り場を想定しているからです。
使い分けの具体例を挙げると、平日の仕事帰りに漁港で1〜2時間だけ投げる人はML、休日にサーフや地磯へ遠征する人はMかMH。両方やる人は、頻度の高いほうに合わせます。デメリットとして、釣り場を選ばない万能な1本は存在しません。どこかを捨てる判断が必要になります。
| 硬めを選ぶメリット | 硬めを選ぶデメリット |
|---|---|
| 4号など重いエギを遠投できる 強いシャクリでエギを大きく跳ねさせられる 大型が乗っても主導権を握りやすい 風が強い日でも操作が破綻しにくい | 小型イカの身切れでバラシが増える 2.5号など軽いエギで竿が曲がらない アタリを弾きやすい 自重が増えて1日振ると疲れやすい |
柔らかい竿を選んだのに釣れないとき、何が起きているのか
シャクリの力がティップに吸われ、エギが跳ねない
柔らかすぎるロッドで起きる代表的な症状が、シャクってもエギが動いていないという状態です。ロッドを煽った力が、まず穂先を曲げることに使われてしまい、エギまで届く前に減衰します。手元では大きくシャクったつもりでも、水中のエギは小さく揺れただけ、ということが起こります。
これが顕著になるのは、重いエギを使ったときです。適合エギ1.8〜3.5号のMLに22gの3.5号を付けて激しくシャクると、ティップが入りきってしまいます。上限ぎりぎりの号数を、上限ぎりぎりの強さで動かそうとすると、ロッドの限界が先に来るということです。
対策は、シャクリ方を変えることです。ロッドを大きく振り上げるのではなく、手首を使った短く鋭いシャクリに切り替えると、ティップが入りきる前に力が伝わります。エギを1号下げて竿の中央付近の重さに合わせるのも有効です。注意点として、この症状を「竿が悪い」と判断して硬い竿へ買い替えると、今度は秋の小型で身切れが増えます。まずはエギの号数を合わせてみてください。
向かい風で3.5号が飛ばない|柔らかさは飛距離の敵になる
もう1つの症状が、風の強い日の飛距離不足です。柔らかいロッドはキャスト時にブランクが大きくたわみ、エギの初速が出にくくなります。無風なら問題にならなくても、向かい風になると差が出ます。
具体的には、風速4〜5mの向かい風で3.5号を投げたとき、エギが失速して手前に落ちる、あるいは風に押されてラインが大きく膨らみ、着底が取れなくなります。エギ王Kの3.5号は沈下速度が約3秒/mですから、水深8mなら約24秒。この間ずっとラインが流され続けると、エギがどこにあるか分からなくなります。
対策は3つ。竿を立てずに低い弾道で投げること、PEを細くして風の抵抗を減らすこと(MLならPE0.5号まで落とせます)、そして風裏になる釣り場へ移動することです。デメリットは、ラインを細くするとブレイクのリスクが上がること。根が荒い場所では細糸は避けてください。
なお、柔らかい竿の限界という意味では、アジングロッドをエギングに流用できるかという話とも通じます。どこまでなら成立するかはこちらで検証しています。

「アジングロッドが1本あるけど、これでエギングもできたら道具を増やさずに済むのに」——ライトゲームを始めた人なら一度は考える疑問です。結論から言うと、条件さえ守…
ソリッドティップは「硬さ表記の外側」にある要素
硬さを考えるうえで押さえておきたいのが、ティップの構造です。エメラルダスXの76UL-Sや79L-Sのように、型番の末尾に「-S」が付く機種はソリッドティップを採用しています。これは硬さ表記とは別の軸の話です。
チューブラティップは穂先が空洞になっていて比較的太く硬いのが特徴で、ソリッドティップは穂先が詰まっていて細く柔らかいのが特徴です。ソリッドは食い込みが良く、渋いイカのアタリも掛けやすい一方、チューブラーは同じ長さ・硬さのソリッドと比べて少し重いルアーまで投げられ、対応幅が広くなります。エメラルダスX 76UL-Sの先径が細く設定されているのは、この食い込み重視の思想からです。
使い分けとしては、アタリを自分から掛けにいきたい人・飛距離を伸ばしたい人はチューブラー、アタリを弾かず乗せたい人はソリッド、という整理になります。注意点として、チューブラーは感度が良い反面アタリを弾きやすく、軽量なルアーではティップの戻りが速くタイミングが取りにくいというデメリットがあります。「柔らかい=初心者向け」という単純な話ではなく、掛け方の好みの問題だと考えてください。
エギングロッドの硬さ別に見る、現行モデルの選び方
ML|エメラルダスX 86ML:秋から入る人の基準機
ML帯で基準になるのが、ダイワのエメラルダスX 86MLです。全長2.59m、継数2、仕舞134cm、自重103g、適合エギ1.8〜3.5号、適合ラインPE0.5〜1.0号、本体価格18,600円というスペック。エギングを秋から始める人が、最初の1本として無理なく使える設定になっています。
この機種を推す理由は、適合エギの下限が1.8号と低く設定されている点です。秋の2.5号(11g)はもちろん、状況によっては2号も乗せられます。自重103gは同シリーズのMより3g軽く、1日シャクり続けたときの差になります。仕舞134cmなので、一般的な乗用車の後部座席には問題なく積めます。
向いているのは、漁港や堤防で2.5〜3号を中心に投げる人、まずは1シーズン様子を見たい人です。デメリットは上限が3.5号までなので、春に4号を投げたくなったときに範囲外になること。4号を最初から視野に入れているなら、次のMを選んでください。
M|エメラルダスX 86M:1本で通年を回したい人へ
春も秋も1本で通したいならM帯です。エメラルダスX 86Mは全長2.59m、継数2、仕舞134cm、自重106g、適合エギ2.5〜4.0号、適合ラインPE0.5〜1.2号、本体価格18,900円。86MLとの差は自重3gと、適合エギの範囲が上へ0.5号ぶんスライドしていることです。
この0.5号が、春の親イカシーズンで効きます。エギ王Kの4号は自重26gで、3.5号の22gより4g重い。この4gを投げ切れることで、沖のブレイクや深場のシモリまで届くようになります。適合ラインの上限もPE1.2号まで広がるので、藻場で強引に浮かせる釣りにも対応します。
向いているのは、年間を通じて4号までを使い分けたい人、サーフや足場の高い堤防に立つ人です。注意点は下限が2.5号であること。秋の豆イカシーズンに2号以下を使いたくなったら範囲外になります。同シリーズなら79Mが自重95gと軽く、短距離戦向けの選択肢になります。
MH・L・UL|用途を絞った3機種の使いどころ
ML・M以外の3段階は、使う場面がはっきりしています。MHのエメラルダスX 83MHは全長2.51m、自重106g、適合エギ3.0〜4.5号、適合ラインPE0.6〜1.2号、本体価格19,200円。春の大型狙いとディープ攻略に振り切った1本です。全長が2.51mと短めなのは、パワーゲームで取り回しを優先しているからです。
反対側のLとULは、軽量エギ専用です。79L-Sは全長2.36m、自重93g、適合エギ1.5〜3.5号、適合ラインPE0.3〜0.8号、本体価格19,900円。76UL-Sは全長2.29m、自重90g、適合エギ1.5〜2.5号、適合ラインPE0.2〜0.4号、本体価格19,800円。どちらもソリッドティップで、初秋の豆イカやヒイカ、低活性時のスロー展開に使います。
使いどころとしては、MHは4号エギが常用サイズになる地域、ULは9月上旬の胴長5〜8cmの新子が相手のとき。デメリットは、どちらも守備範囲が狭く1本目には向かないことです。2本目以降、自分の釣りがはっきりしてから足すのが現実的な順番になります。
硬さ別・価格と自重の一覧(エメラルダスX全10機種)
| 機種 | 全長/自重 | 適合エギ/PE | 本体価格 |
|---|---|---|---|
| 76UL-S | 2.29m/90g | 1.5-2.5号/0.2-0.4号 | 19,800円 |
| 79L-S | 2.36m/93g | 1.5-3.5号/0.3-0.8号 | 19,900円 |
| 79ML | 2.36m/93g | 1.8-3.5号/0.5-1.0号 | 18,000円 |
| 83ML | 2.51m/100g | 1.8-3.5号/0.5-1.0号 | 18,300円 |
| 86ML | 2.59m/103g | 1.8-3.5号/0.5-1.0号 | 18,600円 |
| 79M | 2.36m/95g | 2.5-4.0号/0.5-1.2号 | 18,300円 |
| 83M | 2.51m/103g | 2.5-4.0号/0.5-1.2号 | 18,600円 |
| 86M | 2.59m/106g | 2.5-4.0号/0.5-1.2号 | 18,900円 |
| 89M | 2.67m/109g | 2.5-4.0号/0.5-1.2号 | 19,200円 |
| 83MH | 2.51m/106g | 3.0-4.5号/0.6-1.2号 | 19,200円 |
価格は本体価格(税抜)です。表を見ると、硬さが上がるほど価格が上がるわけではなく、全長が長いほど高くなる傾向が読み取れます。79MLの18,000円が最も安く、79L-Sの19,900円が最も高い設定です。硬さで悩んで価格差を気にする必要はほとんどない、ということでもあります。
同じシリーズ内なら、硬さによる価格差は数百円程度です。予算で硬さを妥協する必要はありません。決め手になるのは価格ではなく「自分が投げるエギの号数が範囲の真ん中に来ているか」の一点です。
エメラルダスXの全機種の違いをさらに詳しく比べたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

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まとめ|エギングロッドの硬さは「号数の真ん中」で選ぶ
硬さのアルファベットは、メーカーが自社ラインナップの中で付けた相対的なラベルにすぎません。だからこそ、絶対値である適合エギ号数を見る習慣をつけると、店頭でもオンラインストアでも迷わなくなります。エメラルダスXならMLが1.8〜3.5号、Mが2.5〜4.0号、MHが3.0〜4.5号。セフィアBBならMLが1.8〜3.8号、Mが2〜4号、MHが2.5〜4.5号。この数字さえ押さえておけば、ブランドが変わっても同じ物差しで比べられます。
そして硬さ選びの失敗は、たいてい2つのどちらかです。硬すぎて秋の小型が身切れする、柔らかすぎて重いエギが動かない。どちらも「自分が投げるエギの号数」と「ロッドの適合範囲」がずれていることが原因で、事前にスペック表を1分見れば防げます。
最初の一歩として、今日やってほしいことが1つあります。手持ちのエギ、あるいはこれから買う予定のエギの号数を紙に書き出してみてください。「2.5号と3号がメイン、たまに3.5号」と書けたなら答えはML、「3.5号がメイン、春は4号」と書けたなら答えはMです。ロッドから選ぶのではなく、エギから逆算する。この順番に変えるだけで、店頭で悩む時間は10分から1分に減ります。あとは候補を2本に絞って、実際に振ってみるだけです。
※ラインナップ・スペック・価格は変更される場合があります。購入前にメーカー公式サイトで最新情報をご確認ください。



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