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「サイレントアサシン80S」を調べてこのページにたどり着いた人の多くは、たぶん同じところで止まっています。全長80mmという極小サイズなのに飛距離は50mと書かれていて、しかも「ジェットブースト」と「フラッシュブースト」の2種類がある。どちらを買えばいいのか、そもそも自分の釣りで出番があるのかが分からない——そんな状態ではないでしょうか。
先に結論をお伝えします。ベイト(魚のエサになる小魚)が小さくて手持ちのミノーに反応がない状況を打開したいなら、まず選ぶべきはジェットブースト搭載のサイレントアサシン80S(品番XM-280N)です。自重10g、飛距離50m、沈下速度30cm/秒という3つの数字が、このルアーの性格をそのまま表しています。日中に見えているシーバスやヒラメを光で振り向かせたいなら、フラッシュブースト搭載の80S(XM-280W)が2本目の候補になります。
この記事では、カタログの数字を並べるだけで終わらせません。2機種のスペック差が実際の釣りでどう効いてくるのか、どんなロッドとラインなら本来の飛距離が出せるのか、そして買ってから「思ったより飛ばない」と感じる人が何を取り違えているのかまで、釣りを始めて間もない人にも伝わる言葉で順番に整理します。なお製品の正式表記は大文字の「80S」ですが、検索では小文字で「80s」と入力する人も多いため、この記事では同じ製品として扱います。
・サイレントアサシン80Sの全スペックと、その数字が意味すること
・ジェットブーストとフラッシュブースト、どちらを先に買うべきか
・シーバス以外に狙える魚と、季節ごとの出番
・「飛ばない」「乗らない」と感じたときの原因と対策
サイレントアサシン80sは10gで50m飛ぶ極小ミノー

全長80mm・自重10gという「極小」の正体
サイレントアサシン80S(XM-280N)は、全長80mm・自重10gのシンキングミノーです。シーバス用ミノーは全長10cm前後が標準サイズなので、80mmは同じ棚に並ぶルアーの中でも小柄な部類に入ります。この小ささが効くのは、水中のベイトが小さいときです。春先のハクや秋の落ちアユが終わったあとのシラス、あるいは真冬のバチ抜け後など、魚が5cm前後の小魚だけを追っている状況では、10cmクラスのミノーは「大きすぎて食べる気にならないエサ」として無視されます。
使い方としては、手持ちのミノーを一通り投げても反応がない場面で、ローテーションの最後に投入する一手として持っておくのが現実的です。港湾部の常夜灯まわり、河川の橋脚下、小規模河川の河口といった、魚は見えているのに食わせられないポイントで真価を発揮します。注意点は、80mmという小ささゆえに大型狙いの本命にはなりにくいこと。ベイトが大きい秋のハイシーズンに80Sだけで通すと、サイズを落とす結果になりがちです。あくまで「状況を打開するための1個」と位置づけてください。
10gで50m飛ぶジェットブーストの仕組み
サイレントアサシン80Sの飛距離はカタログ値で50mです。自重10gの小型ミノーとしては珍しい数字で、これを支えているのがシマノ独自の重心移動システム「JET BOOST(ジェットブースト)」になります。仕組みはシンプルで、ボディ内部の重心移動ウェイトを貫通シャフトとバネで支える構造です。キャストすると重りが後方へ移動して飛行姿勢が安定し、着水するとバネの力で素早く前方へ戻るため、泳ぎ出しが遅れません。
小型ミノーの弱点は、軽いために風の影響を受けて姿勢が乱れ、飛行中に失速することでした。重心移動ウェイトが後ろで固定されていれば、矢のように後方重心のまま飛んでいくので、この失速が起きにくくなります。使う場面としては、堤防先端から沖のブレイクまで届かせたいとき、風が斜めから入る河口部などです。注意点は、キャストが下手だと恩恵を受けにくいこと。ロッドを鋭く振り抜こうとして手先だけでスナップを効かせると、ウェイトが移動しきる前に失速します。ゆっくり大きく、竿を曲げて投げるほうが飛びます。
「サイレント」なのに釣れる、名前が示す設計思想
シリーズ名の「サイレントアサシン」は、ラトル(内部の玉が立てる音)に頼らず静かに近づいて食わせる、という設計思想を表しています。実際、重心移動ウェイトはバネで支えられているため、カラカラという音が出ません。音で広範囲にアピールするタイプのミノーとは真逆の考え方です。
ではどこでアピールしているかというと、ボディ表面の「SCALE BOOST(スケールブースト)」と呼ばれる複合ピッチホログラムです。細かいピッチと粗いピッチのホログラムを組み合わせることで、光の反射が単調にならず、魚から見た輪郭がぼやけます。音を嫌う場面、つまりプレッシャーの高い都市河川や、何人も先に叩いたあとの常夜灯まわりで効いてくる設計です。注意点として、濁りが強く光量も乏しい状況では、この静かなアピールが裏目に出ることがあります。そういう日はラトル入りのルアーやバイブレーションのほうが手っ取り早く反応を取れます。
スペック表にある「スイムフォーム(角度)」は、泳いでいるときのボディの傾きを示す数字です。80S ジェットブーストは10°、80S フラッシュブーストは20°。角度が大きいほど頭下がりの姿勢で泳ぐため、同じただ巻きでも水を受ける量が変わります。この1項目を見るだけでも、2機種の性格の違いが読み取れます。
最初の1個に選ぶべき人・見送っていい人
サイレントアサシン80Sを最初の1個に選ぶべきなのは、すでにシーバス用ミノーを数個持っていて、それでも反応が取れない日を経験している人です。逆に、これからシーバスを始めるという段階なら、80Sは最初の1個には向きません。標準サイズの10cm前後のミノーのほうが対応できる状況が広く、まず1匹を釣るという目的には近道だからです。
具体的な判断基準はシンプルで、「行くフィールドで見えているベイトが小さいかどうか」。港内をのぞいて小魚の群れが指先ほどの大きさなら80Sの出番、手のひらサイズのイナッコやコノシロが跳ねているなら大きいルアーの出番です。注意点は、小さいルアーのほうが釣れると思い込んでサイズダウンし続けてしまうこと。ベイトより明らかに小さいルアーを通しても、群れに紛れて見つけてもらえないという逆効果が起きます。まずはベイトのサイズに合わせる、が原則です。

ジェットブーストとフラッシュブースト、どっちを買えばいい?
沈下速度30cm/秒と19cm/秒、この差が釣りを変える
同じ80Sという名前でも、ジェットブースト(XM-280N)とフラッシュブースト(XM-280W)は別物と考えたほうが実戦的です。決定的な違いは沈下速度で、ジェットブーストが30cm/秒に対し、フラッシュブーストは19cm/秒。フラッシュブーストのほうが自重12gと重いにもかかわらず、沈むのは遅いという逆転が起きています。
この差は、狙える水深と時間の使い方に直結します。沈下速度30cm/秒のジェットブーストは、着水後に数えた秒数だけ素直に沈むので、水深のあるポイントで「レンジ(泳がせる層)を刻む」釣りがしやすい。一方19cm/秒のフラッシュブーストは、浅い場所でもボトム(底)に当たりにくく、シャローエリアをゆっくり探れます。使い分けの目安は、水深のある堤防やテトラ際ならジェットブースト、干潟や河川のシャローならフラッシュブーストです。注意点は、フラッシュブーストの流速スペックが66cm/秒以上と設定されていること。流れの緩い場所ではボディが持つ本来のアクションを引き出しにくいので、止水に近い港内ではジェットブーストのほうが素直に泳ぎます。
反射板が光り続けるフラッシュブーストの正体
フラッシュブーストは、ボディ内部にスプリングで反射板を吊るした機構です。ロッドアクションや水流の振動を受けると、反射板だけがスプリングの上で細かく震え続けます。つまりルアーが止まっている「間」にも、内側からキラキラとした明滅を出し続けるということです。ドリフト(流れに乗せてルアーを漂わせる釣り方)で止めている時間が長い釣りほど、この機構の恩恵が大きくなります。
効く場面としてよく挙がるのが、日中の明るい時間帯とヒラメ狙いです。光量があるほど反射板の明滅がはっきり出るためで、夜のシーバスよりもデイゲームやサーフで評価されている理由がここにあります。デメリットも正直に書くと、内部に反射板を組み込む分だけボディ設計に制約が出るため、同じ80mmでも自重が12gに増え、価格も上がります。とりあえず1個試したいという段階では、割安なジェットブーストから入るほうが失敗が小さいです。
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フローティングの80Fという第3の選択肢
忘れられがちですが、フラッシュブーストには80F(XM-180W)というフローティングモデルもあります。全長80mm・自重10g・飛距離46m、潜行深度は参考値で0.8m、流速スペックは37cm/秒以上です。シンキングの80Sと違って巻くのをやめると浮き上がるので、根がかりが怖い浅場や、ストラクチャー(障害物)の際をなめるように通したい場面で使いやすくなります。
実用上の使い分けは水深とスピードです。水深1m前後のシャローを流したいなら80F、それより深い層を通したいなら80S。またスイムフォーム(角度)は80Fが25°と3機種の中で最も大きく、頭下がりの姿勢がはっきり出るぶん、ゆっくり巻いてもアクションが立ち上がりやすい設計になっています。注意点は、フローティングは風に弱いこと。飛距離46mというカタログ値は追い風・無風での話で、向かい風では手前に落ちます。強風の日はシンキングの80Sを選んだほうがストレスが減ります。
スペックを1枚に並べて比べる(釣りはじめナビ調べ)
3機種+上位サイズの99Sを、公式スペックで横並びにしたのが下の表です。数字だけ見ると、80Sの2機種は「同じサイズの別ジャンル」だとわかります。
| 比較項目 | 80S ジェットブースト | 80S フラッシュブースト | 80F フラッシュブースト | 99S ジェットブースト |
|---|---|---|---|---|
| 品番 | XM-280N | XM-280W | XM-180W | XM-299N |
| 全長/自重 | 80mm/10g | 80mm/12g | 80mm/10g | 99mm/17g |
| タイプ | シンキング | シンキング | フローティング | シンキング |
| 飛距離 | 50m | 52m | 46m | 62m |
| 沈下速度/潜行深度 | 30cm/秒 | 19cm/秒 | 0.8m(参考値) | 35cm/秒 |
| スイムフォーム | 10° | 20° | 25° | 13° |
| 流速スペック | 35cm/秒以上 | 66cm/秒以上 | 37cm/秒以上 | 75cm/秒以上 |
| フック | #6×2 | #6×2 | #6×2 | #4×2 |
| 本体価格(税別) | 1,810円 | 2,150円 | 2,100円 | - |

数字の出典はシマノ公式の製品ページです(サイレントアサシン 80S ジェットブースト/エクスセンス サイレントアサシン 80F/80S フラッシュブースト)。
この1個で何が釣れる?守備範囲はシーバスだけじゃない

本命はシーバスのマイクロベイトパターン
サイレントアサシン80Sの一番の出番は、シーバスのマイクロベイトパターンです。マイクロベイトパターンとは、シーバスが数cmの極小の小魚やエビを偏食していて、通常サイズのルアーにまったく反応しない状況を指します。春の稚アユやハクの群れ、初夏のシラス、秋のイワシの新子などが該当します。
このとき有効なのは、群れの中に1個だけ違和感のあるものを混ぜる感覚ではなく、群れと同じ速度・同じ層を通すことです。80Sなら沈下速度30cm/秒を数えてレンジを合わせ、ゆっくりただ巻きするだけで成立します。ポイントは常夜灯の明暗、橋脚まわり、河川の流れがヨレる場所。注意点は、マイクロベイトパターンでは魚が小さいことも多いということです。フックが#6と細軸なので、シーバスが40cm前後でもフッキング後に無理をすれば伸ばされます。ドラグは締めすぎず、走らせて弱らせるのが確実です。
メバル・カマス・小型青物にもそのまま流用できる
80mm・10gというサイズは、実はライトゲームの上限あたりにぴったり収まります。港内のメバル、秋のカマスの群れ、堤防に回るサバやソウダガツオといった小型青物は、ワームやメタルジグでは獲りきれないタイミングがあり、そこで小型ミノーが刺さります。とくにカマスは小魚を追い回す魚なので、10gが50m飛ぶという飛距離性能がそのまま手数の差になります。
使う場面は、堤防で常夜灯まわりを広く探るとき、防波堤の外側で回遊待ちをするときなど。ロッドはシーバスタックルでも構いませんが、メバリング用のロッドなら10gがぎりぎり投げられるかどうかを適合ルアーウェイトで確認してください。注意点は、青物が回っているときにフック#6のままだと伸ばされる確率が上がることです。サバやソウダガツオを本気で獲りにいくなら、フックを1〜2番手上げるか、そもそも青物用のルアーに持ち替えるほうが結果は早く出ます。

「メバリングはワームばかりで、なんだか飽きてきた」「プラグが釣れるって聞くけど、種類が多すぎてどれを買えばいいか分からない」——そんな悩みを持つ方は多いはずです…
サーフのヒラメ・マゴチには「フラッシュブースト」を
サーフ(砂浜)のヒラメやマゴチを狙う場合は、同じ80Sでもフラッシュブーストのほうが相性が良い、というのが多くのアングラーの評価です。理由は明快で、ヒラメは砂に潜って上を通る魚を見上げて食う魚だから。日中の光量がある時間帯に、上を通るルアーの内側から反射光が漏れ続けるフラッシュブーストは、下から見上げる魚に対して見つけてもらいやすくなります。
ただし80mmという小ささは、サーフでは飛距離の面で不利になります。フラッシュブーストの飛距離52mは小型ミノーとしては優秀な数字ですが、サーフのメインルアーであるメタルジグやシンキングペンシルには届きません。だから80Sは「波打ち際から近い駆け上がりを丁寧に探る」用途に絞るのが賢い使い方です。遠くのブレイクを撃つ本命ルアーとは別枠、ヒラメが浅い場所に差してくる朝夕のタイミング用と考えてください。
投げる前に整えたいタックル|「飛ばない」の原因はここにある
失敗例①:シーバスロッドで投げたら飛距離が半分になった
もっとも多い失敗が、いつものシーバスロッドにそのまま結んで投げ、「50m飛ぶと書いてあるのに全然飛ばない」となるケースです。原因はロッドの適合ルアーウェイトにあります。一般的な9フィート台のシーバスロッドは適合ウェイトの下限が10g前後〜、上限が40g前後に設定されていることが多く、10gはちょうど下限ギリギリ。ロッドが曲がりきらないため、ルアーの重さを反発力に変換できず、腕の力だけで投げる状態になります。
対策は2つ。1つはロッドを替えること、もう1つは投げ方を替えることです。投げ方で対処するなら、垂らし(ロッドティップからルアーまでの糸の長さ)を長めに取り、ロッド全体をゆっくり曲げてから振り抜きます。振りかぶってから投げ切るまでの時間を意図的に遅くするイメージです。注意点は、垂らしを長くしすぎると10gの軽さでは振り子が安定しないこと。竿の長さの1/4程度から始めて、飛距離が伸びる長さを探してください。
カタログの飛距離は、メーカーが条件を整えて計測した数値です。無風でロッドとラインが最適化された状態の値なので、向かい風や太いラインでは届きません。50mという数字は「同じサイズのミノーの中で飛ぶほう」と読み替えるのが実用的です。
ロッドは適合ルアーウェイトの「下限」で選ぶ
10gを気持ちよく投げたいなら、適合ルアーウェイトの下限が5〜7g程度から始まるロッドを選ぶのが基準になります。シーバスロッドならライトクラス(Lや一部のML)、あるいは8フィート前後の短めのモデル。ライトゲーム寄りに振るなら、適合上限が12g以上あるメバリングロッドやライトショアジギング入門ロッドでも扱えます。
選ぶときの場面別の目安は、港湾部で足場が高いなら8フィート台後半〜9フィート、河川の護岸で取り回し優先なら8フィート前後、サーフなら10フィート前後です。注意点は、柔らかすぎるロッドを選ぶと今度はフッキングが決まらないこと。80Sのフックは#6と小さいので、細軸の針を口の硬い部分に貫通させるには、ある程度の張りが必要です。「10gが曲げられて、かつティップが入りすぎない」のが理想のバランスになります。

釣具店のロッドコーナーに立って、シーバスロッドの数の多さに固まってしまった経験はないでしょうか。8フィートから11フィート、L・ML・M・MHという硬さ表記、そ…
ラインは細くする、これだけで飛距離は変わる
10gのルアーで飛距離を稼ぐ最短ルートは、ラインを細くすることです。PEラインなら0.6〜0.8号、リーダーはフロロカーボンの3号前後が扱いやすい組み合わせになります。ラインが太いと、飛行中の空気抵抗とガイド抵抗の両方でブレーキがかかり、10gの運動エネルギーではそれを押し切れません。同じルアー・同じロッドでも、PE1.2号を0.8号に落とすだけで着水点が明らかに変わります。
場面別には、港湾のシーバスならPE0.8号、ライトゲーム流用ならPE0.6号、サーフでヒラメも視野に入れるならPE0.8号にリーダーを長めに取る、といった組み方が現実的です。注意点は、細くすればするほど根ズレやフックの伸びに対する余裕がなくなること。テトラ帯や牡蠣殻のついた護岸では、細さを優先しすぎるとラインブレイクで魚とルアーの両方を失います。フィールドの障害物の多さと相談して決めてください。
スナップは小型を使う、ただしサイズを落としすぎない
80Sのアイ(ラインを結ぶ金具)は小型なので、スナップも小型のものを使います。大きく重いスナップを付けると、10gのボディに対して先端が重くなりすぎ、頭下がりの姿勢が崩れてアクションが鈍ります。ライトゲーム用のSサイズ前後が目安です。
一方でサイズを落としすぎるのも問題で、強度不足のスナップは不意の大型で開きます。80Sはシーバス用ミノーですから、70cmクラスが食ってくる可能性は常にあります。使い分けとしては、港内のマイクロベイトパターン専用ならSサイズ、サーフや河口で大型の可能性があるならワンサイズ上、という考え方が安全です。注意点として、スナップを何度も開閉していると金属疲労で強度が落ちます。1日の釣行でルアーを頻繁に交換したら、次の釣行前に交換する習慣をつけておくと事故が減ります。
釣れる動かし方は3つだけ覚えればいい

基本はただ巻き、ハンドル1回転を1秒より遅く
サイレントアサシン80Sの基本操作はただ巻きです。特別なロッドワークは必要なく、着水後にラインスラック(糸フケ)を取ってから一定速度で巻くだけで、タイトなウォブリング(左右への揺れ)が出ます。速度の目安は、ハンドル1回転を1秒より遅くするくらい。マイクロベイトパターンでは、小魚の群れがゆらゆら漂う速度に合わせるのが正解になりやすいからです。
この釣り方が効くのは、常夜灯の明暗の境目、河川のヨレ、堤防の角といった「魚が定位して流れてくるエサを待っている」場所です。上流側または明るい側にキャストし、暗い側へ通します。注意点は、巻きが速すぎるとルアーが水面直下を突っ走ってしまうこと。80Sはシンキングとはいえ、速く巻けば浮き上がります。「泳いでいる手応えが手元にわずかに伝わる」ギリギリの遅さを探すのが、この釣りのコツです。
流速スペック35cm/秒の意味と、ドリフトの合わせ方
スペック表にある「流速スペック35cm/秒以上」は、ジェットブースト搭載の80Sがきちんと泳ぐために必要な水の流れの速さです。裏を返せば、流れのある場所ならリールを巻かなくてもルアーが泳ぐということ。これがドリフトという釣り方の根拠になります。
やり方は、流れの上流側にキャストして、ラインを張らず緩めずの状態で流れに乗せるだけ。80Sは自らアクションしながら、上流から流されてきた小魚のように下流へ移動していきます。フラッシュブーストなら、この「止めている時間」にも反射板が明滅し続けるので、より効果が読みやすくなります。注意点は、流速スペックを下回る場所ではドリフトが成立しないこと。港内の止水域でラインを緩めても、ルアーはただ沈むだけです。流れがあるかどうかは、水面のゴミが流れる速さで判断できます。
ジェットブーストの流速スペックは35cm/秒以上、フラッシュブーストは66cm/秒以上。流れの緩い港内ならジェットブースト、流れの効いた河川や潮通しの良い場所ならフラッシュブースト、と機種を場所で選び分けると迷いません。
カウントダウンでレンジを刻む
沈下速度30cm/秒という数字は、そのままレンジ探索の物差しになります。着水から5秒数えれば約1.5m、10秒で約3mの位置にルアーがある計算です。同じキャストを繰り返しながら、着水後のカウント数だけを3秒・5秒・8秒と変えていけば、その日魚がいる層を効率よく探せます。
この方法が効くのは、水深が5m前後ある堤防や、水温の変化でシーバスが底付近に落ちている冬から早春です。表層だけを巻き続けて「今日は魚がいない」と結論を出す前に、カウントを増やして底付近を通してみると答えが出ることがあります。注意点は、風でラインが流されるとカウント通りに沈まないこと。横風の日はラインが引っ張られてルアーが浮き上がるので、ロッドティップを水面近くまで下げてラインを風から逃がしてから数えてください。
やってはいけないのは「速く強く」動かすこと
逆に、80Sで避けたい操作もはっきりしています。強いジャークやトゥイッチ(ロッドを鋭くあおる動作)を連発することです。80mmという小さなボディは水の抵抗を受ける面積が小さいため、強い入力を与えると水を掴めずに横倒しになり、姿勢が破綻します。破綻したルアーは、魚から見て「不自然に暴れる何か」になってしまいます。
もしリアクション(反射的な食い)を狙いたいなら、ロッドを10cmほど動かす小さなトゥイッチを1回だけ入れて、すぐただ巻きに戻すのが正解です。この「ちょんと入れて止める」の間で食ってくることが多くなります。注意点は、アクションを入れる回数を増やしすぎるとラインスラックが溜まり、食ったときにフッキングが決まらなくなること。1キャストにつき2〜3回までにとどめてください。
カラー選びは3系統そろえれば足りる
ナチュラル系:迷ったらイワシ・ボラ系から
サイレントアサシン80Sには10色以上のカラーがありますが、初めの数個を選ぶなら3系統に整理すると迷いません。1つ目がナチュラル系で、022 Tクリアイワシ、023 Tスケボラ、024 Nボラのような、本物の小魚に近い配色です。クリア(透明)やスケルトンの入ったカラーは水中で輪郭がぼやけるため、魚がルアーを凝視できる澄んだ水と明るい時間帯に強くなります。
使う場面は、日中のデイゲーム、水が澄んだ堤防や河口、プレッシャーの高い都市河川。逆に濁った水や真っ暗な夜には輪郭が消えて見つけてもらえないという弱点があります。注意点は、ナチュラル系だけで揃えてしまうと濁りの日に手詰まりになること。最初の3個を買うなら、ナチュラル系は1〜2個にとどめ、残りは別系統に振り分けたほうが対応幅が広がります。
アピール系:濁りと暗さに効く「見せる」カラー
2つ目がアピール系で、021 マットチャートや026 マットコノピンクのようなマット(つや消し)系の派手色です。マット塗装は光を反射せず色そのものが強く出るため、濁った水や光量の乏しい状況でシルエットをはっきり見せられます。チャート(蛍光黄緑)は濁り、ピンクは朝夕のマヅメ時に強い、というのが定番の使い分けです。
効く場面は、雨後の増水で濁りが入った河川、風で波立った堤防、常夜灯のない真っ暗なポイント。デメリットは、澄んだ水の日中に使うと見切られやすいことです。魚がルアーをじっくり観察できる状況では、不自然な色は逆効果になります。注意点として、アピール系は「魚を寄せる色」ではなく「見つけてもらう色」だと考えてください。寄せる力を期待して澄み潮で投げ続けても、反応は返ってきません。
キョウリン(狂鱗)系と、2026年に増えた新色
3つ目が、シマノ独自のホログラム表現である「狂鱗(キョウリン)」系です。80Sには018 キョウリンCC、019 キョウリンTPRH、020 キョウリンPCがラインナップされています。リアルな鱗模様のホログラムを重ねることで、光の角度によって輝きが変化するのが特徴で、SCALE BOOSTの反射と組み合わせるとフラッシング効果が高まります。
さらに2026年7月には、027 マットブラーベイトと028 トモシビの2色が追加されました。マット系と光り物という方向性の違う2色が同時に増えた形なので、既存のカラーで手が届いていなかった状況を埋める使い方ができます。注意点は、カラーを増やすほど1個あたりの出番は減るということ。まずはナチュラル・アピール・キョウリンから1個ずつの3個体制で始めて、通うフィールドで釣れた色を買い足すのが無駄のない揃え方です。
カラー名の頭についているアルファベットは系統を表しています。Tはクリア(透過)系、Nはナチュラル系、Aはメラメラ系のホログラム。店頭で品番の数字を覚えていなくても、この記号を見れば系統の見当がつきます。
買ってから気づく弱点と、その回避法
失敗例②:#6フックのままゴリ巻きしてバラした
2つ目に多い失敗が、フッキングまでは決まったのに寄せる途中でフックアウトする(バレる)ケースです。原因は、80Sに標準装備されているフックが#6×2という小さめのサイズだから。ボディが80mmと小さいためフックも小さくせざるを得ず、大型が掛かると刺さりが浅くなったり、強引なやり取りで針が伸びたりします。
対策は、ドラグ設定と巻き方の両方を変えることです。ドラグは、手でラインを引いてじりじり出る程度まで緩めておきます。そして魚が突っ込んだら止めずに走らせ、走りが止まってから巻く。ゴリ巻きで一気に寄せようとするほどバレます。注意点として、フックを大きくすれば解決するとは限りません。#6より大きいフックに交換するとボディの重量バランスが変わり、10gという軽さでは泳ぎが崩れることがあります。交換するなら同じ番手で軸の強いものを選ぶのが無難です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 10gの小型ミノーで飛距離50m マイクロベイトパターンを打開できる シーバス以外にも流用が利く ラトル音がなくプレッシャーに強い | フック#6で大型はバレやすい ロッドを選ぶ(10gが投げられる竿が必要) ベイトが大きい時期は出番が少ない 強いジャークで姿勢が破綻しやすい |
実は、80Sは「飛ばすため」のルアーではない
意外と知られていないのですが、飛距離50mという数字に引かれて買うと、たいてい期待外れになります。同じシリーズの99Sは飛距離62m、しかもフックは#4×2で強度も上。単純に遠くを探りたいなら、最初から99Sを選ぶほうが目的にかないます。80Sの50mという数字は「これだけ小さいのに、ここまで飛ばせる」という意味であって、飛距離自体が売りではありません。
ではどこに価値があるかというと、「小ささ」を諦めずに沖のポイントまで届けられることです。従来は、小さいルアー=近距離戦、遠投したい=大きいルアー、という二択でした。80Sはこの二択を崩し、沖のブレイクにいるマイクロベイト付きの魚にアプローチできるようにしたルアーだと考えると、選ぶ理由がはっきりします。注意点は、この価値が効くのは実際にベイトが小さい日だけということ。年間を通して主力になるルアーではありません。
在庫と入手性は事前にチェックしておく
もう1つ現実的な弱点が、人気カラーの在庫が読めないことです。サイレントアサシンはシマノのシーバスルアーの中でも定番シリーズで、シーズンイン直後や新色発売直後は特定カラーが店頭から消えます。とくに80Sは生産数が大きいサイズではないため、通販でも品切れ表示が並ぶことがあります。
対策としては、狙っているカラーを1色に絞らず、系統で候補を持っておくこと。「クリア系ならTクリアイワシでもTスケボラでもいい」という決め方をしておけば、店頭で空振りしません。また本体価格は税別1,810円(ジェットブースト)ですが、実売価格は店舗や通販サイトで差があります。注意点として、極端に安い並行品や中古を選ぶと、フックがサビていたり内部に浸水していたりすることがあります。10gの軽いミノーは内部浸水すると泳ぎが完全に変わるため、状態のわかるものを選んでください。
「サイレントアサシン80」で検索すると、フローティングの80Fフラッシュブースト(XM-180W)とシンキングの80Sが混在して表示されます。品番の下1桁ではなく、頭の「XM-1」がフローティング、「XM-2」がシンキングと覚えておくと、通販での買い間違いを防げます。
まとめ
サイレントアサシン80Sは、持っている人と持っていない人で釣果に差が出るタイプのルアーではありません。差が出るのは「ベイトが小さくて何を投げても反応がない1日」に、それを1個持っているかどうかです。まずは通っているフィールドで水面をのぞき、そこにいる小魚のサイズを確かめるところから始めてください。指先ほどの小魚が群れているなら、次の釣行でタックルボックスに1個加える価値があります。
※価格・スペック・カラーラインナップは変更されることがあります。購入前にシマノ公式サイトの製品ページで最新情報をご確認ください。



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